2006年12月23日

住宅の寿命

不動産の仲介などでは住宅の査定の方法というものがあり、木造戸建て場合は程度にもよりますが、20年強で建物としての価値は見れないというのが一般的な見方です。30年ともなればつぶして新築した方がよいという風潮があります。もちろん、30年経過した家でも現に人が住んでいるわけで見た目や機能面での問題こそあれ住めないなんてことはありませんし、ほぼ土地値で住めるわけですから目を瞑りさえすればお得な買物と見ることもできます。しかしながら、現在の売れ筋といえる新築住宅の場合には、その長期の住宅ローンを完済する前に資産価値がほぼなくなってしまうわけでこれは資産価値としてみれば大きな問題です。平成のバブルまでのように右肩上がりで土地価格が上昇してきた時代はその土地部分の上昇で意識することのなかった問題にこれからは目を向けなければなりません。

実際、欧米では建物の寿命は80年から100年超といいます。それに対して日本は30年足らずです。地震が多いなどの要因が大きいと考えられますが最近の日本の建物は日進月歩で性能も上がっていますので20〜30年前の建物とは大きく違ってもよさそうですが今のところはスクラップ&ビルドの流れは変わっていません。ここへ来て、国もその問題改善に動き出し、市場でも「リノベーション」という言葉が流行し、中古マンションを中心に中古住宅をリフォームして再販するというケースが増えています。このような流れをうまく利用して木造住宅の寿命の認識を変えていかなくてはなりません。しかしながらそれには、数年前まで横行していた欠陥住宅や最近の耐震偽装など足を引っ張る問題も多いため、アメリカでは常識とされるインスペクション(建物調査)の普及が不可欠だろうと思われます。インスペクションにより建物価値が保証されれば建物の資産価値が保たれるわけです。さくら事務所など大きく伸びている(?)インスペクション業者もあるようですが現実はまだまだです。

そしてそこにはメンテナンス意識の問題があります。アメリカでは中古住宅はメンテナンスをしてもとの状態を維持すれば資産価値は変わらないという前提のため住宅の所有者のメンテナンス意識は非常に高いのです。一方わが国の現状はと言えば必要に迫られるまでメンテンスをしないか、必要であってもしないという人がほとんどではないでしょうか?メンテナンスをしても売却時の価値として反映されにくい現状では仕方がないとは思いますが、そこには建材メーカーや住宅メーカー側の問題もあると感じています。

私個人の話で恐縮ですが、我が家は2×4で新築して今年でほぼ7年となります。外壁は窯業系サイディングボードと言ってコンクリート主体の合成ボードです。半年ほど前、そのボードが浮き上がっているのを見つけ施工業者である某ハウスメーカーに連絡したところ、足場を組んで補修と点検をしてもらえることになりました。通気工法で防水シートを施工してあるので雨水の浸入は心配しなくて良いとの説明でしたが一応一枚ボードをはずしてもらいこの目で確認しましたが問題はありませんでした。これなどは施工技術の日進月歩の例であろうと思います。しかしながら、ボードとボードの継ぎ目を埋めるシーリングについては場所によってひび割れなどの劣化が見られました。これは仕方のないことでメンテナンスに明るい方であれば常識ですが、このことを知らない人も多いと思われます。メンテナンスが必要とは聞かされていても10年経たずに劣化しているということを知っている人は少ないのではないでしょうか?それに我が家はレンガ調の色分けサイディングなので塗装の際には塗り分けが困難である可能性が高く、このことはわかってこのレンガ調を選んでいるわけですが、クリアや光触媒などを塗装することにより現カラーのままの対応もできたようですが7年経って既に色あせが始まっており手遅れだと言われました。こういうこともこちらが催促して回答をもらったことであり、担当者自らは何の提案もありませんでした。結局、数年後に普通に塗装する方がよいということになり今回は悪い部分のシーリングだけやり直してもらったのですが、今回の件で建材メーカーや施工業者は売るだけではなくもっとメンテナンスに対する情報を施主に確実な形で提供するべきだと感じました。現状では塗替えを業とする塗装業者の情報に基づく場合がほとんどであろうと思います。
自宅のことを持ち出したのでちょっと脱線気味でしたがとにかく、資産価値の面で住宅の寿命を延ばすにはいくつものハードルがあるのは間違いありません。


外壁クレーム.jpg
posted by かわいいHERO at 19:01| Comment(0) | TrackBack(1) | ┣へぇ〜そうなんだ
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