
今回のレースでは、何より、37歳ヤマハのバレンティーノ・ロッシのポールポジションからのスタートが素晴らしい。

バレンティーノ・ロッシはモトGPクラスの歴代最多優勝選手であることから、2輪レース界では絶大なる人気を誇ります。
加えて、ヨーロッパでの2輪レースの人気は凄まじく、スペイン辺りでは、テレビ中継は視聴率40%を超えるというから驚きです。

その人気もあってか、シーズンを通して、スペインでは4レースが組まれており、現在上位を走る多くのライダーがスペイン人ライダーという状況です。
反面、かつては世界チャンピオンを何人も輩出したアメリカ人ライダーが、今シーズンはひとりもいなくなってしまったのが残念です。

今回ポールポジションのロッシはイタリア人ですが、その人気は世界規模であり、昨年チャンピオンのスペイン人ライダーのロレンソよりも前からスタートする今回のレースは、その結果にも期待が持てます。

これまでの多くのレースでトップを争ってきた、ヤマハのロレンソとホンダのマルケスを従えて、ベテランがどのような走りをするのか、ワクワクが止まりません。

スタートから、ポールポジションのロッシが飛び出します。
途中、一瞬だけロレンソが前を行こうとしましたが、すかさず抜き返して、その後はその差は広いていきます。

結果、ラスト1周でロッシとロレンソの差はこの通り。

ペースをあげられないロレンソに対して、ロッシはレースをコントロールできる安定した走りでした。

最後はウィリーでチェッカーを受けます。

速すぎて、ゴールライン上ではただの影。

完全勝利に、テンション最高のロッシです。

以前は定番だった、ウィニングランの横すわりが見られました。
余程嬉しかったのでしょうね。

対する同じくヤマハのロレンソは、ペースを上げることができず、ピットへ戻ってから、お手上げのポーズを2回もして、厳しい表情でした。
ロッシのマシンの仕上がり具合に比べて、自身のマシンに不安がいっぱいなのかも知れません。
加えて、来シーズンの移籍が決まっているドカティも、このコースでは散々だという点も、気分を暗くするのかも知れませんね。
かつて、ロッシもドカティへ移籍して、散々な経験をしていますが、現在のドカティのマシンは、当時とは違って異次元に戦闘力が上がっているとはいえ、ロレンソがトップを走れる保証はありません。

今回のヘレスでのレースは、コンチネンタルサーカスと呼ばれる、ヨーロッパ大陸を移動するレースの初戦に当たることから、今後のロッシとロレンソのムードに明暗が別れたと言えます。
また、前回のアメリカズGPの結果から、残りのシーズンを独走するかと思われたホンダのマルク・マルケスも、その天性の走りを持ってしてもペースを上げることができず、シーズンチャンピオン獲得に向けたポイント稼ぎの守りの姿勢となっているので、マシンの状態から考えると、ロッシがダントツの仕上がり具合と言えるのかも知れません。

環境が整った時に飛び抜けた速さを発揮するロレンソとマルケスですが、今シーズンは、飛び抜けた速さが鳴りを潜め、ドクターの異名を取るロッシの方に、歩がありそうですから、予想のつかないシーズンとなりそうです。

家電の世界では、目に余る衰退具合となっている日本のメーカーですが、二輪の世界では、未だにトップブランド国の地位を維持しています。
ホンダは熊本に工場があることから、ホンダのマルケスが表彰台に日の丸を持ちだして日本へ向けて激励してくれました。

もう、今シーズンの面白さは期待できないかと思いましたが、終わってみれば、トップからヤマハ、ヤマハ、ホンダ、ホンダ、スズキ、スズキ、そしてドカティという、日本の3大メーカーが大活躍の結果となりました。
レース展開としては、ロッシの独走で面白みがあったとは言えませんが、シーズンを通しては、ロッシが勝ち続けることで、守りに入っているマルケスも攻めざるを得なくなってきますので、未だまだ昨年を超える面白いシーズンとなる可能性を秘めています。
もっとも、今年から変更となったミシュランタイヤの問題が小さくないようですから、その改善具合によっても展開が左右される可能性は大です。

とは言え、ポイントでは、マルケスが頭一つ飛び抜けているので、ホンダの調子が上がって、マルケスの能力と一体化した場合には、手が付けられなくなる可能性もあります。
そういう意味では、現時点でマシンにアドバンテージのあるヤマハも、ロレンソの穴を埋める若いライダーが必要です。
若いスズキのヴィニャーレスがヤマハに乗ることがあるのか?は、近いうちにハッキリするでしょうが、それが叶わない場合には、ロレンソの移籍で席が一つ無くなるドカティのアンドレア・イアンノーネなんていうのも、ロッシとの関係が良好ということもあり、可能性としてはあるんじゃないかと思ったりしますが、どうでしょう。

さぁ、次はGW明けということで、ちょっと寂しい連休の後に楽しみが出来たことは大きいな。
