モトGPとWSBKは同じ1000ccのオートバイレースなわけですが、モトGPが排気量と各マシン共通のタイヤとエンジン制御コンピューターを使用するということ以外は、自由に開発される走る実験室のような、最高峰レースであるのに対して、WSBKは、市販されている1000ccオートバイを改造して行われるレースです。
そのWSBKでは、カワサキのジョナサン・レイ選手が、昨年まで4連覇を成し遂げる圧倒的な強さを誇っていました。
しかしながら、これまで2気筒マシンで戦ってきたドゥカティが、パニガーレV4というモトGP譲りとも言える市販車を発売し、WSBKでも、V4マシンがデビューするとともに、そのライダーとして、モトGPからスイッチしてきたアルバロ・バウティスタ選手が全勝といういう状況です。

WSBKは3レース行われるので、第2戦であるタイでも3レースで、開幕戦のオーストラリアと合わせて合計6レースが行われたものの、全てにドゥカティのバウティスタ選手が勝利するという余りにも圧倒的な結果に、レース観戦としては、面白みのないものとなってしまっています。

カワサキのジョナサン・レイの4年連続チャンピオンらしい見事なライディングを以ってしても、ジリジリと引き離されて遥か後方へと消えていく状況は、もはやレースとして成立していないと感じるほどです。

しかしながら、バウティスタ選手以外のドゥカティ勢が上位に進出していないことを考えると、V4マシンだけでなく、モトGPからやって来たライダーとしてのバウティスタ選手の力もあるのだと思われます。

3戦を消化した時点で、必要があればエンジンの回転数制限を変更して、極力イコールコンディションを保つこととなっているため、ドゥカティのマシンにより低い回転数制限が適用される可能性は高いと思われます。
でもまぁそれもそのはずで、今期のスタート時点の各メーカーに対する回転数制限は、
ホンダ:14,550、カワサキ:14,600、ヤマハ:14,700、スズキ:14,900、BMW:14,900、MVアグスタ:14,950
に対して
ドゥカティ:16,350
という状況であり、これは発売された市販車の回転数に基づくものであるため、それ用の別格の市販車を販売したドゥカティが飛び抜けていると言えますから、必要な措置と言えるでしょう。
個人的には、いろいろ制限を設けることを良しとは思いませんが、そうしないとレースが成立しない状況なのでやむを得ません。
しかしながら、市販されているパニガーレV4は、まだ寒いこの時期でさえ、街中での走行ではオーバーヒートしてしまうという情報もありますので、WSBKで勝つことを最優先して発売された新型車は、まさに公道を走るレース用マシンと言えるのかも知れません。
せっかく今期は開幕戦から追い始めたWSBKなので、見応えのある熱い展開を期待したいものです。