
ツーリングを早期終了するようにリクエストを出してまで、楽しみにしていた昨晩のモトGPですが、結果は悶々とする結果となりました。
予選の段階から、応援するヤマハのバレンティーノ・ロッシが厳しい状況であることはわかっていたので、ここは復活の兆しを見せるホンダのダニ・ペドロサと、才能を持ちつつも今季は異常な転倒に喘ぐマルク・マルケスのホンダ勢に頑張ってもらって、チャンピオンシップとしてのモトGPの面白さを追求したいと考えていました。
結果、ポイントで頭ひとつ飛び抜けた、ヤマハのマーベリック・ビニャーレスが10位に沈み、2位以下との差がなくなったことは、今後の展開としては面白くなったと言っても良いのですが、ロッシが8位に終わって、ビニャーレスとのポイントさがあまりつまらずに、ランキングも5位に落ち込んでしまったことが、個人的な悶々の原因であろうと思われます。
ですが、それよりも懸念するべき事項が、ドゥカティのアンドレア・ドヴィツィオーゾの2連勝です。
ドヴィツィオーゾは努力家ですし、彼に対する結果は、喜ばしいものであると感じています。
しかしながら、これまでも直線が他メーカーに比べてダントツに速いドゥカティが、タイプの違うサーキットで2連勝してしまうというのは、今後のチャンピオンシップ争いに由々しき事態を招く恐れがあると個人的に感じています。
まぁ、技術的なことやモトGPの内側のことをわかっていない、おっさんライダーの飲み屋での戯言のようなものですが…。
私が、リターンでモトGPを視聴するようになったのは、ケーシー・ストーナーの引退前くらいかと思います。
そして、録画してまできちんと観るようになったのはここ数年ですが、私の印象として、常にあるのはドゥカティのストレートでの飛び抜けた速さです。
これは実際に、毎年言われていることでもあります。
しかしながら、直線で速くとも、直線とコーナーを組み合わせて創られるサーキットでは、それ以上にコーナーリング性能が重要であり、そこがドゥカティの弱点でもありました。
ところが、この2連勝でドゥカティがそこを改善できた可能性が高いと思われます。
その改善のレベルがどのようなものかはわかりませんが、それに加えて、今季はミシュランによるタイヤの問題が影響していると思われます。
昨晩のスペイン・バルセロナの第7戦カタルーニャGPでは、同じスペイン・ヘレスで行われた第4戦スペインGP同様に、ヤマハ勢が苦戦しました。
この2つのコースに共通するのは、路面のグリップが良くないということ。
特に昨晩のカタルーニャGPは、史上1、2を争うようなコンディションの悪さで、どの選手を見てもまるでダートかと思うような状況でした。
そんなグリップしないコンディションでは、当然コーナーリングが難しくなります。
コーナーリングというのは、旋回による重力に、タイヤのグリップで耐えるわけですから、当然です。
そうなると、コーナーリングに利があると言われるヤマハのマシンは、その利を失うこととなります。
逆に、直線の速いドゥカティの場合、コーナーリングを無理せずに、直線でタイムを稼ぐことができるので、非常に有利な状況となります。
これについては、ウエットコンディション、つまり雨のモトGPのレースを見ると、総じてドゥカティのライダーが速いということでもわかるのではないでしょうか?
直線の場合は、マシンが起きた状態ですから当然、横方向の重力は働きません。
タイヤのグリップに気を付けなければならないのは、フルブレーキングの限界を越えてのスリップだけです。
それさえ、無理せず、コーナーを安全速度で旋回しても、直線で取り戻せるとなると、誰でも一定のところまでは速く走ることができる、それがドゥカティと言えます。
もちろん、雨の得意不得意やスライドの好き嫌いや精神的な部分まで関連要素があって、常に最高を維持できた者が勝利するのがモトGPですから、簡単に片付けることはできませんが、直線で速い、トップスピードに歩があるというのは、絶対的に有利です。
そんな驚異的なトップスピードを有するドゥカティが、今回の50度を超える路面温度でグダグダなミシュランタイヤの問題により、その有利な部分が顕著に現れたような気がします。
雨のレースでも、それなりの速さを見せるバレンティーノ・ロッシの結果からしても、このタイヤのグダグダ問題は、雨よりも複雑なものなのでしょう。
では、「今後のチャンピオンシップへの影響は???」ということになりますが、トップスピードは、エンジンパワーによるものなので、シーズン中はエンジン開発が禁止されているモトGPでは、コンディション次第としか言えないかも知れません。
アンドレア・ドヴィツィオーゾが2連勝で一皮剥けたのは間違いないので、今後は雨のレースでも強さを発揮する可能性があると思います。
ドゥカティのトップスピードは、もちろん、ドゥカティの技術力であるわけですが、主催者側が面白いレースのために設定した、格差を無くすための主要メーカーへのシーズン中のエンジン開発禁止は、今後はドゥカティの有利を守ることとなり、モトGPをつまらなくする可能性もあるのではないかと懸念します。
ドゥカティとしては、最も大事なエンジンの開発禁止によるアドバンテージが働く中で、コーナーリングの改善のためのフレームやその他大部分は自由に変更できるわけですから、勝利する環境が整っていくことは必然と言えるでしょう。
今後のドゥカティの戦績によっては、近い将来、シーズン中のエンジン開発も解禁される必要が生じるかも知れないと思うのは先読みし過ぎか。
もちろん、シーズンオフでのエンジン開発は可能なわけですが、実践場所であるモトGPの戦いの舞台で活きた開発とは違うんじゃないかと思ったりしますから。
また、現況としては、主催者側の思う通りの接戦となり、面白いモトGPシーズンを実現できているとは感じますが、最高峰のモトGPがワンメイクのように平均化されることで失うものもあるのかも知れないと思い始めた今日この頃です。