【9月23日(水)】
世間のシルバーウィーク最終日に翌水曜日の定休日を合わせて和歌山への三十三所めぐりを予定していたものの、奥さんのスタンプラリーの台紙の忘れ物により、我が家のオルビスでのお出掛けも、世間と同じ火曜日に終了することとなりました。
このシルバーウィークの間、気掛かりだったのがいつもチュールをあげているPちゃんのことですが、最近はそれ以上に気になっていることがありました。
それは、Pちゃんにチュールをあげていると姿を現す、しっぽの短い小柄なサビ猫ちゃんです。
ニャンズマーケットで大量の猫用ドライフードのサンプルをいただいたので、それを常に鞄に入れていて、Pちゃんにチュールをあげる際に、その子にもサンプルのドライフードをあげたところ、どんどん距離が縮まっていき、逃げなくなりました。
次第にPちゃんと共に私を待つように、駐車場からの帰り道で見掛けるようになりましたが、Pちゃんは、別のサビ猫ちゃんとは、同じ器に頭を突っ込んでいるところを見かけたことがあるのですが、チュールをあげている時に、このしっぽの短い子が近づいて来ると威嚇します。
Pちゃんはその辺りの地域猫化していて、あちらこちらでご飯をもらっていて、そのおこぼれを別のサビ猫ちゃんが得ているようですが、このしっぽの短い子は、Pちゃんに受け入れられていないようですから、ご飯を得るのも最後の最後の残り物しかなかったのだと思います。
だからこそ、私と奥さんに纏わりついて来るようになったのでしょう。
なお、この時点では、このしっぽの短い子は、しっぽが短いところから「しっぽみじかちゃん」→「みじちゃん」と呼んでいました。

これはシルバーウィーク直前の朝に見かけたみじちゃんです。

道路でくつろげるところから、一般的な野良よりも警戒心は薄いのでしょうか…。
そして、火曜日は和歌山から早めに帰宅できたこともあり、帰宅後、Pちゃんにチュールをあげに行くことにしました。
そして、いつものようにPちゃんにチュールをあげていると、しっぽの短い子もいつものように待っていました。
そして、食べ終わった後もいつまででも奥さんに纏わりついているので、奥さんと二人の総意で、その場で保護することにしました。

とは言え、何の受け入れ状態もないので、先ずはお風呂に入れて大まかな汚れを取って、大学生が家に居なくて開いている小部屋にゴンタが使っていて捨てずに置いていた組み立て式のソフトケージを置いて、その中にに入れました。
抱かれたまま連れて帰ることが出来ましたが、流石に環境の変化に怯えて、この体制から動きません。
「シャー」も言われましたが、仕方ありません。
そんな状態でもチュールは食べますから、チュールってやっぱりすごいですねぇ。
自分達だけで保護するのは初めてなので、取り敢えずは、メイとさつきが避妊手術を受けた病院である「のらねこさんの手術室」に翌日奥さんが電話をしてみました。
ですが、やはりTNR活動が主体の病院ですから、検査や治療メインだと他の病院を当たってもらった方が良いとのことでした。
但し、野良猫を嫌がる病院もあるので、その時は再度ご相談くださいとのことだったようです。
メイとさつきを譲っていただいたミルクボランティアさんに相談しようかとも思いましたが、自分達で行動したことですし、相談はせずに、メイとさつきの受診書類のあった獣医さんに電話をしてみたところ、時間内に来れば診ていただけるということで、急いで病院へと走りました。

野良ちゃんにも積極的な病院で、捕獲機で持ち込んでいる方や、奥にはカラスまでいました。

みじちゃんは、キャリアケースに入れられても、上からバスタオルを掛けていれば、鳴き声ひとつあげずにおりこうさんでした。
そして、ようやく診察の順番が回って来たのですが、実は私と奥さんは、みじちゃんの身体が小さいこともあり、1年未満の仔猫だと思っていたのですが、
先生看護師さんの一目見て「10歳は過ぎているおばあちゃんですね」という言葉に唖然としてしまいました。
そして、その後の検査で「猫エイズ」のキャリアであることが判明しました。
元気になって、メイとさつきと遊ぶ姿を想像していた私達でしたが、その思いは無残に散りました。
「猫エイズ」の猫とメイとさつきを同じ空間で飼育することはできません。
これが保護のリスクだということを今更ながら思い知りました。
診察前に
先生看護師さんから「診察後この子をどうするつもりですか?」と聞かれて、奥さんがしどろもどろになっていたところ、私はきっぱりと「今更元の環境に返すわけにはいかないので、うちの子と飼うつもりです」と言っていたのですが、この言葉に偽りはなく、覚悟は決めていたわけですが、実際にエイズキャリアだということになると、現実的な問題が出てきます。
一番の問題は、やはり飼育場所です。
昼間はリビング、夜は寝室とメイとさつきの自由に動き回るエリアを考えると、ベストは彼女たちが立ち入ることのない1階のおばあちゃんエリアです。
しかしながら、ルーズな年寄りとなっているおばあちゃんが、メイとさつきへの感染防止を完全に実行できるかと言えば、不安が残ります。
それ以前に、私もおばあちゃんにお願いして嫌味を言われるのも嫌ですから、残るはやはり大学生の居ない小さな子供部屋のみとなります。
幸い、猫エイズは感染力は高くなく、喧嘩による噛み傷や交尾、母子感染が感染原因となるだけで、空気感染は無く、人間のコロナウィルスよりも感染防止は容易です。
また、アルコール除菌で死滅するので、猫同士を接触させず、コロナ対策程度のことをしていれば、先ず感染の心配は無いようですから、ある意味コロナの流行に助けられていると言えます。
実際、同じ室内でキャリアのある子とない子を同居させて問題ないというケースもあるようです。
まぁ、野良の場合は縄張り争いによる喧嘩が付きものなので、噛み合いが避けられないでしょうが、室内飼いだとご飯はちゃんともらえるので、喧嘩をすることはあっても、噛み合いにまではならないのでしょう。
先生看護師さんの知り合いで、福岡県に居る方がエイズキャリアの子も受け入れしてくれるそうなのですが、福岡まで連れて行かなくてはならないことと、その子の今後の為の一時金が必要ということで、少し悩みましたが、何とか出来るものなら自分たちで何とかしてやりたいという気持ちがありました。
なので、問題は多いですが、エイズキャリアのおばあちゃん猫のしっぽみじかちゃんを飼うことを決断しました。
これは、私達に与えらた使命なのだと思うことにしました。
私達が保護していなければ、遠くない内にこの世からなくなっていただろう命であり、ケージの中ででも平穏にのんびりと暮らせることがこの子の幸せだと先生に言われ、そもそも奥さんが三十三所めぐりのガイドブックを忘れていなければ、その晩、私達は和歌山に居て、この子を保護することも無かったでしょうから…。

決断をしたら、迷う暇はないので、早速キャッケージ等必要なものを買って来て、2つあった勉強机の1つをばらして、ケージを置くスペースを確保しました。
そして、由来はわかりませんが、奥さんの命名により「ジュジュ」という名前になりました。

エイズキャリアということで、歯茎の炎症はもう治らないそうで、口が痛い中この子はドライフードを食べていたのです。
そう考えると、Pちゃんはドライフードは好んで食べないだけで、本来食べられないのに生きるために食べようとしていたこの子の方が過酷な環境に置かれていたのだろうと想像できます。

おしっこを敷いていたタオルの上で寝たまましていたりで、想像以上に元気がなく心配しており、ケージの段は無駄かと思っていました。

ですが、急遽設置したネットワークカメラの映像から、夜間によじ登って脱走を試みた?ような元気な姿が映し出され、少し安心しました。

外で自由に動き回りたいのでしょうが、過酷な外の世界よりも幸せだと思ってくれる信じています。

ということで、現在はぐっすりお眠のジュジュちゃんです。